「闇」から「光」へ。座喜味城跡 2025.11.6.木

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ミュージアム展示室の2階の出口からでると、裏手の坂道に。
坂道を上がると、世界遺産・座喜味城跡がある。

城跡へ向かう道は、琉球松に囲まれた心地よい遊歩道が。
鳥のさえずりを聞きながらゆっくりと歩いていくと、城壁が現れる。

15世紀、名将・護佐丸(ごさまる)によって築かれたこの城(グスク)。
沖縄の城壁の中でも最も美しいと言われる、優美な曲線の石垣が目の前に。
琉球石灰岩が積み上げられたその壁は、数百年の風雨に耐え、ただ静かにそこに佇んでいる。

石垣の上に登ることができる。
太陽の熱を微かに帯びた琉球石灰岩のごつごつとした感触を確かめながら、一歩一歩、踏みしめるようにして頂上へと上がってみる。

そこで目に飛び込んできたのは、息をのむような絶景だった。

360度のパノラマと、吸い込まれそうなほどに青い空と海。
視界を遮るものは何もなく、読谷村の穏やかな街並み、そして西海岸の海が一望できる。
潮の香りを孕んだ風が勢いよく吹き抜け、火照った全身を優しく包み込んでいく。

手すりもないので、高所恐怖症の僕には少し足がすくむような恐怖が。
しかし、ふと足元を見ると「いっちぇーならんどー(Do not enter)」という沖縄ならではの看板が目に入り、思わずふっと心が和む。

ミュージアムの薄暗い展示室で息を呑んで見つめていた、「鉄の暴風」が吹き荒れ、艦船で埋め尽くされたあのモノクロの海。
しかし今、目の前にあるのは、どこまでも穏やかで、ただただ美しい「青」だ。

先ほど知った地下(ガマ)での暗闇と、今浴びている太陽の光。
過去の凄惨な歴史と、現在の平和な静寂。
ミュージアムの展示室で感じた「閉塞感」や「暗闇」から一転して、城跡の頂上で感じた開放感。
そのあまりに強烈なコントラストに、心を大きく揺さぶられる。

この美しい石垣は、琉球王国の繁栄も、あの戦争の悲劇も、そして力強く復興していく沖縄の姿も、すべてこの静かな時間の流れの中で黙って見つめ続けてきたのだろう。

思えば僕は、これまで常に「今」と「未来」の数字ばかりを追いかけてきた。
納期や目標、目まぐるしく変わる日々のスピードの中で、息継ぎをするように走り続けてきた人生だった。
しかし、こうして数百年の歴史の積み重ねの上に立ち、悠久の風に吹かれていると、人間の一生など瞬きするほど短いものだと痛感する。

60歳で一つの区切りを迎え、今、この場所に立てたこと。
悲しい歴史を知った直後だからこそ、目の前のこの景色が、単なる「絶景」ではなく、誰かの祈りの上に成り立つ尊い「奇跡」のように思える。

沖縄の風に吹かれながら、心から「ここに来てよかった」と思った。
この平和な景色と、新しく始まる自分の時間を、一日一日、大切に味わって今を生きよう。